今回は、オブジェクトのクローン(複製)の種類について説明したいと思います。 複製というとコピーを連想しますが、gmaxではコピーはクローン(複製)の属性として定義されています。
クローンの属性は、
Copy(コピー) Instance(インスタンス)、
Reference(参照)
の3つがあります。
Copy(コピー)は、元のオブジェクトをそのまま複写し、独立したオブジェクトとして定義します。一般的に連想するコピーと同じものです。
Instance(インスタンス)は、複製されたオブジェクトとして存在はしているのですが、システム上はオリジナルそのものとして定義されるクローン属性です。実像では無く、レンズを通して写し出された像のようなものです。 Instance(インスタンス)属性のオブジェクトにスタックレベルで変化を与えるとオリジナルにも同じように変化が適応されます。
Reference(参照)は、Copy(コピー)と同じように複写されますが、完全にオリジナルから独立したオブジェクトではなく、オリジナルに何かスタックレベルで変化があった場合、それを参照して同じように変化が適応される属性です。 参照なのでReference(参照)属性のオブジェクトにスタックレベルで変化を与えてもオリジナルには、影響はありません。
Instance(インスタンス)と
Reference(参照)の違いについてFig2-02〜Fig2-05を使って示します。
はじめに
Fig2-02 のように3つのオブジェクトを用意しました。 左がOriginalのオブジェクトで、真ん中がOriginalをInstance属性でクローンしたもの、右はOriginalをReference属性でクローンしたものです。これらのオブジェクトに変化を与えていきます。
Fig2-03では、OriginalにTwist(ツイスト)を実行してみました。Instance、ReferenceともにOriginalと同じように変化しました。 前述のようにInstanceは、クローン元そのものなのでOriginalと同様に変化がでます。
Referenceは、Originalを参照している状態です。Originalに変化があればそれを元に適応されます。
次にInstanceに対してFig2-03の状態からTaper(テーパー)を実行した様子を
Fig2-04 に示します。
3つのオブジェクトが同じように変化しました。
Instanceへの変化は、Originalに適応されます。そのInstanceの変化を受けたOriginalを受けて、Referenceも同じように変化しました。
Fig2-03 と同じように変化を受けているように見えますが、Instanceの影響をOriginalを介してReferenceが変化しているのです。
最後にReferenceに対してBend(ベンド)を実行した場合を
Fig2-05 に示します。
Original、Instance共に影響を受けていません。これがReference属性の特徴です。
左右対称の建物で、大元の屋根のサイズや形状が同じでもディテールの違いがあるような場合など、Originalに変化を与えずに修正できます。
以上のようにクローンの属性について説明してみました。これらの属性を使い分けることによって、クローンしたオブジェクトをより効率よく修正したりできるようになると思います。ギコングの指を作ったときには、非常に役立ちました。
次のページからは、Fig2-01に示した
クローンの種類についてそれぞれ説明していきます。